ユニクロを匠Methodでリバースエンジニアリング
この記事は匠塾アドベントカレンダーの7日目の記事です。
本日のテーマですが、「なにかのサービスを匠メソッドでリバースエンジニアリングします」と宣言してました。
じゃあ何にしようか…。ふと、最近気づけばユニクロばっかり着ているな…と感じたので、今回はユニクロのビジネスモデルを匠Methodでリバースエンジニアリングしてみます。1
そもそも匠メソッドって何?という方は 参考リンク に有用なリンクを置いておきましたのでそちらを見てみてください。
リバースエンジニアリングとは
匠メソッドのリバースエンジニアリングとは、既存の企業やサービスの戦略を匠メソッドのモデルに当てはめるとどうなるのか?を考えるワークです。 リバースエンジニアリングは、匠メソッドのモデリングを練習するための有効なアプローチです。
通常の企画などで匠メソッドを使用すると、アイデア出しも並行して行う必要があり大変です。 一方、リバースエンジニアリングでは、既にあるものをモデリングするためモデリングに集中することができます。 また、HPなどに答えが書いてあることがあるため、ゼロベースでモデルを起こすのよりも難易度が低いです。
作成したモデル
作成した価値デザインモデルはこちらになります。(今回は時間なくて価値デザインモデルだけで勘弁してください汗)
どのようにリバースエンジニアリングしていたのか、各要素ごとに解説します。
ビジョン
ビジョンは「あらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする」としました。
これはユニクロのHP内にあったブランドメッセージからそのまま引用しています。このように、ビジョンやコンセプトとなる言葉はその企業のHPに大々的に記載されていることが多いです。HPをよく読んで探してみましょう。
コンセプト
コンセプトは以下の3つとしました。
- 【「究極の普段着」ポジションの確立】高品質でベーシックなデザインを表す「究極の普段着」を追い求め、公言することで、世界中の人が生活に取り入れやすい服のポジションを確立する
- 【新領域へのチャレンジ】ベーシックなデザインだけでは獲得できない顧客層へアプローチするための新企画を継続的に打ち出す
- 【SPA】企画から販売のプロセスを一貫して行うことで、他社には真似のできない製品を開発する
コンセプトは主にユニクロのビジネスモデルのページから作成しました。コンセプト1とコンセプト3は冒頭文章の文言を編集して構成しています。
コンセプト2はここ最近のユニクロの動向を見た上で自分で考えて埋めました。「+J」「Uniqlo U」などのデザイナーとのコラボレーション企画は「究極の普段着」からは少し外れた方向性だと思い、これを埋めるためのコンセプトの原動力としてチャレンジ精神があるのではないか、と憶測し、記載しています。
コンセプトは取捨選択に一番時間がかかりました。迷った上でボツにしたコンセプトを書いておきます。
ボツ案1:「コラボレーション」
デザイナーとのコラボレーションや、東レとの素材開発のコラボレーションなど、ユニクロの戦略と切り離せないのがコラボーれションなのではないか、というイメージが有りました。そのため、最初は「コラボレーション」を軸としたコンセプトを置いていました。
ですが、モデリングを進めていくうちに、「コラボレーションは新領域のチャレンジの手段でしか無く、目的レベルなのではないか」という解釈にいたり、現在のコンセプト2へと置き換えられました。
ボツ案2:「安価」
ユニクロと聞くと安価なイメージがあると思い、これをコンセプトに入れることも検討しました。ですが、ユニクロのビジネスモデルのページの中には安価であることを売りにする表現がどこにもなかったため、企業戦略としてはふさわしくないと思い、コンセプトからは除外しました。2
ボツ案3:「在庫コントロール」
ユニクロの在庫コントロールはかなりの強みだと思っています。店舗の張り紙に「在庫を切らさないようにします」的なメッセージが書いてあった印象があり。実際、アプリを使えば全ての店舗の在庫状況をユーザーが見られるようになっているので在庫コントロールが強みであることは間違いないと思います。ただ、他のコンセプトと並べたときに、ちょっとレベル感が違うかなー、と感じたため、コンセプトからは取り下げました(コンセプト3の手段の位置づけになりそうです)。
言葉
言葉には「LifeWare」を置きました。
言葉はCMなどでも起用されるキャッチーな響きのものを置きます。最近のユニクロのCMでは「LifeWare」のキーワードが必ず出るようになっていますし、柳井氏が昔から唱え続けていた「究極の普段着」という言葉をコンパクトかつスタイリッシュにまとめたワードということで間違いないんじゃないかと。
意味
意味は言葉の説明です。
ユニクロはLifeWareのマガジンサイトを持っているのですが、なんとその中にLifeWareとはというそのまんまなページがありました。このページの冒頭の文章をそのまま意味に記載させていただきました。
デザイン
デザインはブランドロゴ+LifeWareです。
リバースエンジニアリングの際は、ブランドロゴが既に用意されている場合がほとんどです。ロゴをそのままデザインとしても良いですし、モデリングの途中でもっとふさわしいデザインがあれば別のものを置いても良いです。 今回は特に他に見つからなかったため、言葉の「LifeWare」を含んだロゴにしました。
ストーリー
ストーリーは自分で考えて作りました。
企業沿革などから引っ張って作成する方法もありますが、ビジョン達成のためのストーリーを書くとなると未来のことも書くので沿革だけだと不十分になる可能性があります。
今回はビジョンがわかりやすく、ユニクロの行っている事業との結びつけもしやすかったので、こんな順番で進んでいけばビジョンが達成できるのではないか、という考えを自分の中で巡らせて編集しました。
まとめ
今回はユニクロのビジネスモデルを匠メソッドでリバースエンジニアリングしてみました。前述したとおり、リバースエンジニアリングはモデリングの難易度が比較的低く、練習としてとても良い題材でした。
みなさんもぜひ、自分の好きなものだったり、気になってるものなどを題材に、リバースエンジニアリングでモデリングの練習をしてみてください。
おまけ
今回、調査してて初めて気づいたんですが、ユニクロには工場の技術アドバイスを行う「匠チーム」なる組織があるそうです。ユニクロのビジネスモデルのページに記載があるので、匠つながりで気になる方は読んでみてください笑
参考リンク
[1] 匠塾の公開ページ (https://www.facebook.com/takumijyuku/)
[2] 匠塾2021年度アドベントカレンダー (https://adventar.org/calendars/6673)
[3] 匠Methodとは (https://www.takumi-businessplace.co.jp/takumi-method/index.html)
[4] 匠Method 超入門(関西匠塾第一回) (https://www.slideshare.net/hagimotojunzo/method-72390898?qid=e75538a8-e047-45c6-8b09-1cec15fe7a23&v=&b=&from_search=1)
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今回は「ユニクロ」ブランドの戦略をモデリング対象としました。ファーストリテイリンググループ全体の戦略は対象としていません。↩
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ジーユーを立ち上げたときに「安価」のイメージをジーユーに譲ることで捨てたのかもしれませんね。ジーユー事業のメッセージにははっきりと「低価格」という表現が使われています。↩